「で、ケリーがいなくなってどれくらいなんだ」
「さて、かれこれ6年くらいかな」
「なにい!?」

相変わらず美しい王妃が再会の感慨もなく詰問したのは同郷だと言っていた少年のことだった。
ここにはいないと素直に答えるとリィの目が釣りあがった。

「6年…」
「…せっかくジャスミンと一緒に若返ったのに、またズレちゃうんだ。」

呆然と時の流れを数えたリィの横で、黒い艶やかな髪を遊ばせながらルウが残念そうに呟く。
それを聞いていたのはリィだけだったが、リィは盛大に眉を顰めた。

「とにかく俺はケリーを連れて帰らなきゃならないんだ。あいつはどこにいる!?」

怒気の混じった声に、ルウはあちゃあと肩を落とす。
どうやらこの世界に来るまで散々試行錯誤したひと月では彼の怒りは収まっていないらしい。

彼の相棒と妻から彼を奪ったという意識があるのだ。
どうしてもジャスミンとダイアナの元に彼を連れ帰ると心に決めている。

それからたぶん一発殴ることも。
勝手に消えたケリーにも怒りが向くのは仕方のないことだとルウは高い天井を仰ぐ。

「キングってもしかしてこれを予想してたからデルフィニアを出て行ったのかな。」

あながち的外れでもない気がする。









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